巻 之 一
螺旋館の客人
昭和拾年・北陸雪嶺秘話
雪に閉ざされた山中の洋館。二重螺旋の階段の奥、書斎で老資産家が密室の中で毒殺される。容疑者は四人、戦地の秘密が眠る。
扉を開く
巻 之 二
夜行列車一三号
昭和拾貳年・北陸夜行密室譚
上野発金沢行きの夜行特急。深夜二時、二等寝台の個室で実業家が毒で倒れる。雪の山岳トンネル区間、次の停車は朝六時。
汽笛を聞く
巻 之 三
百貨店の七階
昭和初頭・銀座開店前密室譚
銀座の新興百貨店、七階社長室。開店前の朝、密室で五光勘助社長が試食コーヒーに混ぜられた青酸で殺害される。
昇降機に乗る
巻 之 四
灯台守の遺言
大正末期・日本海離島譚
日本海沖、岩礁に立つ孤島の灯台。嵐の真夜中、灯が消える。螺旋階段の下に倒れた老灯台守の遺言は、地下の秘密へと続く。
渡し舟に乗る
巻 之 五
能楽堂の鬼
昭和廿三年・京・能舞台譚
戦後の京の能楽堂、戦後初の本格能の中入で名人が倒れる。般若の面は二度の衝撃で縦に裂け、戦中の振付の秘密が浮かび上がる。
鏡の間へ入る
巻 之 六
水底の声
昭和卅五年・東北霧明館譚
東北山中の湯治宿、霧明館。文壇の大家が深夜の岩風呂で水を含み、湯花の下で動かなくなる。三十年前の鈴のの声が、湯気の柱と共に立ち昇る。
霧の門を潜る